ケース5/ゆずちゃん

ゆずちゃん/推定10歳

薬剤名

エスポー


投与時の体重と投与量

下記、投与量未確認

 


投与回数と数値の変動

※投与開始時のBUN/Creは、44.1/ 5.3 


週2回

1.2004.06.13~2004.07.22 11.0%→27.0%  体重不明

2.2004.10.28~2004.12.14 15.0%→25.0%  体重2.6kg

3.2005.02.01~2005.03.03 14.0%→21.0%  体重3.6kg

4.2005.05.16~2005.10.06 13.0%→19.0%  体重3.9kg


他の貧血対策

1回目と2回目は静脈点滴によりPCVがかなり下がってしまい、ゆずもぐったりしてしまったた め救急処置で輸血を併用した。 

3回目と4回目は数値は低いものの、本猫に元気食欲があったため輸血の処置はとらず。

あとは一般的な方法ではないが、2回目からはステロイド(プレドニゾロン錠)を飲んでいた。 

4回目からは鉄分補給にと思い鉄瓶で沸かした湯を冷ましたものを飲み水として与えたが効果は不明。 

皮下輸液もしくは静脈点滴

 

 

抗体について

4回目、1ヶ月ほどでPCV13%→19%といったん上がったものの、その後13%→7%→10%と貧血が進んでしまったので抗体が出来たようにも思うが、これはBUNとCREの上昇に合わせて輸液を徐々に増量したせいとも思われ、もう腎臓そのものが限界にきていたからのようにも思う。 

 

飼い主の感想

エリスロポエチンは効果が出るのに時間はかかるものの、ゆずにとっては体調維持にとても有効だったと思 う。特に2回目以降はかなり元気になってドライフードを自ら進んで食べるようになり、体重も増えた。 

亡くなる1週間前まで食欲廃絶もぐったりすることもフラフラすることもなかった。 

ゆずは輸血も2回経験しているが、輸血はかなり体に負担がかかるようで、輸血後はぐったり気持ち悪そう にしていて看ているこっちも心配でぐったりしてしまう程だったが、エリスロポエチンは輸血のような体への負担がなく体調維持ができるので、貧血治療には輸血よりもエリスロポエチンをまず試すべきと思う。 

ただ、1回目と2回目のゆずのように静脈点滴で急にPCVが下がって体調を崩した場合には即効性 のある輸血は救急処置として有効だと思う。 

 

4回目、エリスロポエチンはもう効いてないかもと思いながら投与を止めなかったのは、止めて体調を崩してしまうことが怖かったから。 

結局最初の投与から1年以上効果があったのだから貧血対策としては現時点ではエリスロポエチンが最も有効だと思う。


管理人補足

ゆずちゃんは抗体を防ぐためにステロイドを併用していました。 

抗体ができなければ何度でも使える EPOであり、抗体はネコ自身の免疫が作るものなので、免疫力自体を抑えてしまおうという考え方です。 

しかしこれは現状ではなかなか行われない特別な方法といえるかもしれません。 

飼い主さんがこの方法に辿り着いたのは、EPOは将来的にゆずちゃんは何度も使うことになるだろうという冷静な判断があったから。また羨ましくなるような信頼関係を病院側と築くことができたから、病院側がゆずちゃんの症状をよくよく理解し、ゆずちゃんのための治療法を飼い主さんと一緒に真剣に考えてくれた結果といえると思います。